「子どもがやる気がない」について(DörnyeiのDMC論)

「子どもがやる気がない」について(DörnyeiのDMC論)

保護者からたまにこんなこと言われます。「先生の授業は楽しいけど、うちの子は家で言語についてやる気を出さない」や「関心を示さない」。そのきっかけで、いわゆる「やる気」や「関心」について考えて、色々調べました。まず、押さえておきたい点について、このブログで今まで提唱してきた教授法の3段階はこれらです↓

段階① 多言語紹介。世界の多言語・多文化に気づかせ(言語への目覚め)、複言語・複文化レパートリーの基盤を形成する。
段階② 言語選択。上記の基盤に基づき、子どもは集中したい1つ(または2つ)の言語を選択する。
段階③ 個別の言語に集中。子どもが選んだ言語に集中し、自分が決めた内容や目的の達成に頑張ること。

今回の内容は、最終段階、つまり、特定の言語に対する学習や評価方法についてです。もっと具体的に、第二言語習得における動機付け(モチベーション)の研究の1つを紹介したいと思います。それは、ハンガリー出身の言語学者のDörnyeiによる「方向性のあるモチベーションの流れ」(Directed Motivational Currents、以下DMC論)。

まずイメージにして欲しいのは、お父さんとお母さんの皆さんが自分の子どもに対して抱いている理想はなんでしょう。1つの例に絞ると、子どもが主体的に、自発的に外国語で話始めたり、書き始めたりのではないでしょうか。講師として、私もその理想を持っていることを認めます。大人にも子どもに、学習内容に夢中する高いモチベーション、やる気の瞬間は稀だが、その瞬間は学習過程の頂点だと考えながら、それに至る流れにあるそれぞれの項目を分析した方がより達成しやすいのではないでしょうか。Dörnyei氏はまさに、この動機付けの流れを「方向性のあるモチベーションの流れ」と呼び、次の4つの項目で分析しました。

① 目標・ビジョン思考: なぜその言語、その目的、その内容なのか?
② きっかけとなる出来事: 「やる気」を出せるために、何らかの経験(たまに批判でも)、機会、刺激が必要です
③ 促進する仕組み: ルーティンと進捗の確認方法を確保し、やる気が維持・教化される(毎日Duolingoをやる、ニュースを見るなど)
④ ポジティブな感情: 喜びを感じることですね

応用例:

【こどもA】
① 目標・ビジョン思考: スペイン語を選んで、将来はスペインでサッカー試合を見たい
② きっかけとなる出来事: 保護者からその目標から、簡単なスペイン語の単語の知識が褒められる
③ 促進する仕組み: 子どもは毎日、お父さんと一緒にユーチューブでスペイン語でサッカー試合を観て、聴解度が上がっていく
④ ポジティブな感情: 複数(保護者に褒められ、サッカー関連のスペイン語教材、国旗など買ってくれる、お父さんと一緒に観る喜びなど)

【子どもB】
① 目標・ビジョン思考: 子どもはフランス語を選んだ。目的はフランスに行くこと(エッフェル塔、パティシェなどが好き)
② きっかけとなる出来事: お母さんはDuolingoでフランス語をやって、フランス語のアニメと曲が見せられたという刺激
③ 促進する仕組み: 子ども向けのフランス語教材(Duolingo、ユーチューブなど)を一人や親と一緒にやる
④ ポジティブな感情: フランス関連の特別なことを親と一緒に楽しむこと(エッフェル塔の模型、料理作り、フランス料理の外食)

例文から気づいて欲しい1つのことは、親が子どもの関心に対する理解と協力です。保護者が本を読まないと、子どもは読まないかもしれないので、積極的に子どもを聞いて、関わりましょう、

この投稿は、「旅する応用言語学」というとてもおすすめするブログのこの投稿を参考にして書きました。よく書いている、内容が豊富なので、興味がある方は是非見てください。

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