
エスパーニャ(スペイン)出身で、沖縄に住む私は最近、生まれた国の離島について考えて、行ったことがないのに沖縄と比較して調べてみました。主にその言語状況について考えます。

カナリア諸島は、スペイン領の島々であり、アフリカ大陸の北西に位置する魅力的な観光地です。美しい自然環境と豊かな文化を誇るこの地域は、言語面でも非常に多様性に富んでいます。特に、カナリア諸島の言語状況は、その歴史的背景や地理的位置、そして人々の交流に深く根ざしています。
1. スペイン語: 主流の言語
カナリア諸島で最も広く話されている言語は、もちろんスペイン語です。カナリア諸島はスペインの自治州であり、標準的なスペイン語(カスティリャ語)が公用語として使用されています。日常生活、ビジネス、教育、行政において、スペイン語が主要な意思疎通の手段として機能しています。
特に、カナリア諸島のスペイン語には独自の方言があります。これには、アフリカ大陸やラテンアメリカからの影響が色濃く反映されており、アクセントや語彙の点で本土スペインとは若干異なる特徴があります。また、カナリア諸島の方言は、カリブ海や南米のスペイン語に近い部分もあるため、自分にとっては非常に興味深いものです。
2. グアンチェ語: 古代の言語の遺産
カナリア諸島にはかつて、グアンチェ語という独自の言語が存在していました。グアンチェ語は、カナリア諸島の先住民であるグアンチェ族によって話されていた言語で、これらの島々の文化と歴史に深く結びついています。残念ながら、グアンチェ語は15世紀のスペインによる征服とともに急速に消失しました。

エル・イエロ島で発見されたグアンチェ語の碑文(古代ベルベル文字?)
グアンチェ語は、アフリカ大陸のベルベル語と関連があると考えられており、その痕跡は語彙や地名に残っています。現在、グアンチェ語はほとんど話されていませんが、研究者たちはその復元や保存に努力しています。また、グアンチェ語は地域の名前などで残っています。
3. シルボ語

カナリア諸島で特に注目すべき言語的な特徴の一つに、「シルボ(Silbo)」という笛を使った言語があります。シルボ語は、特にラ・ゴメラ島で発展した、音声ではなく笛の音で意思疎通を行う方法です。この言語は、山岳地帯の狭い谷間に住む人々が、遠くの距離でも相手に伝えられるように工夫されたものです。
シルボ語は、言葉を「笛の音」に変換することで、かなりの距離を越えてメッセージを伝えることができるため、非常に実用的なコミュニケーション手段でした。シルボ語は、2009年にユネスコの無形文化遺産に登録されており、現在もラ・ゴメラ島の学校などでシルボ語の教育が行われています。この言語は、カナリア諸島の伝統的な生活様式や自然環境との結びつきを象徴しています。
4. 移民と観光客の影響
近年、カナリア諸島にはさまざまな国からの移民と観光客が増加しており、その影響を受けて新しい言語の存在も感じられるようになっています。特に、モロッコやラテンアメリカからの移民、イギリスやドイツの観光客が多いため、アラビア語やアフリカの言語、英語やドイツ語、さらにはスペイン語の他の方言が混じり合う場面も見られます。
カナリア諸島の言語状況は、その文化的背景や歴史と深く関係しており、非常に興味深いものです。島々を訪れる際には、言語の多様性を体感し、地域の文化をより深く理解することができるでしょう。同様、沖縄は国内外の多くの言語が混じり合う場所で、島の未来のために多くの言語について知って活用すべきだと思います。